部品情報を差し替える
旧BSchは回路図ファイルに部品情報が入っていませんでした。回路図ファイルを読み込むたびに、ライブラリから部品情報を取得して表示をしていたのです。
このことで発生する問題の一つが、「ライブラリを変更してしまったとき、あっけなく回路図を再現できなくなる」ことでした。しかし見方を変えれば、「ライブラリを変更することで、回路図の部品情報を容易に差し替えることができた」とも言えます。
BSch3Vでは一旦回路図に読み込まれたライブラリ情報は回路図ファイルに埋め込まれますので、ライブラリ情報を差し替えるのはちょっと手間が必要になっています。
1. ひとつずつ差し替える方法
いったん削除して、再度配置しても構いませんが、それだと部品番号や名前、その他の情報まで一から入力しなければなりません。
部品のアトリビュートの[部品情報の置換]を使うことでライブラリ情報だけを差し替えることができます。
(1)[設定]→[ライブラリ]で、差し替え後の部品を含むライブラリを設定しておきます。
(2)差し替えたい部品を含む部品を含む回路図を読み込みます。
(3)[ツール]→[セレクタ]を選びます。
(4)ダブルクリックで差し替えたい部品を選び、アトリビュートダイアログで[部品情報の置換]を選びます。
(5)差し替え後の部品を選びます。
2. まとめて差し替える方法
たとえば抵抗のシンボルをギザギザの記号から四角形の記号に差し替えたい場合、一つずつよりもまとめて差し替えた方が楽です。
以下は、レフレックスラジオのサンプル回路図の抵抗を差し替える手順を示しています。(この回路図には抵抗はたったの2つしかありません。サンプル画像が大きくなるのも考えものでしたので、ご了承ください)
この方法が使えるのは、回路図に配置されている抵抗と差し替え後の抵抗がすべて同じサイズ、ピン配置であることが条件となります。
(1)[設定]→[追加選択の許可]にします
(2)差し替え後のライブラリが設定に含まれていることを確認します
(3)回路図を読み込んで、セレクタツールで、抵抗だけをCtrl+クリックですべて選択します
(4)[編集]→[まとめて変更]→[部品情報の置換]を選びます
(5)差し替える部品を選びます
(6)完成
3. もっとまとめて差し替える
上のサンプル回路図で、抵抗とコンデンサだけをまとめて一気に差し替える手順を紹介します。
手順の概略は
(1)回路図ファイルAからいったんライブラリ情報をすべて削除した回路図ファイルBを作る。
(2)差し替え後の抵抗とコンデンサだけのライブラリを準備する。
(3)BSch3Vのライブラリ設定で、(2)のライブラリと、元の回路図ファイルAだけをこの順で設定する。
(4)回路図ファイルBを読み込む。
これは旧BSchが回路図ファイルを読み込む様子をエミュレートするものです。BSch3Vでは回路図ファイル自体もライブラリとして使えることも利用しています。
しかし、長い間自分で必要に応じて部品シンボルを作ってきた方や、インターネット上のライブラリを集めて作図されている方ならこの方法が極めて危険なものであることはご理解いただけるかと思います。もちろん、BSch3Vではこのような使い方を想定していませんし、作者として、この手法によって発生するトラブルに対応する予定もありません。
BSch3Vは回路図の中にライブラリ情報を含まない部品を発見すると、BSchと同様、呼び出し名を頼りにライブラリを検索します。このとき、ライブラリ設定で優先度の高いものから読み込みます。結果として、抵抗とコンデンサについては、優先度を高くした差し替え後のライブラリから読み込み、見つからなかったものは元の回路図から読み込むわけです。
しかし、呼び出し名だけが頼りですので、たとえば、「R」という呼び出し名で複数の全然異なるシンボルが回路図ファイル内に混在する場合はぐちゃぐちゃになってしまいます。つまり呼び出し名とシンボルが一対一で対応していないといけないのです。自分だけでライブラリや回路図をメンテしていて、かつ、旧BSchの時代のように、ライブラリを作成してから回路図ファイルを開く習慣を厳格に守っている方にしかお奨めできない方法です。
以下詳細です。
(1)通常の回路図ファイルから、ライブラリ情報をすべて削除した回路図ファイルを作る。
回路図ファイルの中から、+BSCH3_LIB_V.1.0 〜 -BSCH3_LIB_V.1.0 の部分を削除するだけです。
このスクリーンショットは、手元で実験的にC#で作ったライブラリ情報削除ソフトのものです。
Radio.CE3から、ライブラリ情報を削除したRadio_nolibinfo.ce3を作成しています。
(2)差し替え後の抵抗とコンデンサだけのライブラリを準備する
DISCRETE-NEW.LB3から、C、Rだけをコピーしてきました。
(3)BSch3Vのライブラリ設定で、(2)のライブラリと、元の回路図ファイルをこの順で設定する
順番が逆だと意味がありません
(4)ライブラリ情報を削除したRadio_nolibinfo.ce3を読み込む
部品の呼び出し名とシンボル情報が一対一に対応していれば、これで差し替え完了です。