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Polygonの設定による更新時間の変化

  Minimal Board EditorのPolygonの更新は比較的処理時間がかかる機能ですが、この時間はパターンや設定、配置によっておおきく変わります。
  ここでは、Version 0.29を対象に、Polygonの縦横の分割で高速化を行う手法について解説していますが、Version 0.35以降では、縦横を自動で分割して高速化を図っています。そのため、Version 0.35以降では、ユーザーがマニュアルでPolygonを分割しても、高速化のためには意味はあまりありません。

  1. 既存のパターンが複雑なほど時間がかかる。
  2. Remove floating pattern(浮きベタ削除)を有効にする方が時間がかかる。
  3. Trace Width(塗りつぶしに使う線幅)が細いほど時間がかかる。
  4. Polygonの面積が広いと時間がかかる。

  このうち、3番目と4番目の設定による違いをVersion 0.29cで確かめてみました。
  使っているマシンは、Windows XP SP2, Celeron 2.4GHzです。
  サンプルデータは「Minimal Board Editor で作ったデータでOlimexに注文」のP24F006基板で、部品面いっぱいのPolygonをGNDに接続しています。このとき、1つのPolygonで部品面いっぱいに配置したのが下図左で、4つのPolygonを使ったのが下図右です。

部品面いっぱいのPolygonを1面で配置 部品面いっぱいのPolygonを4面に分けて配置

  Trace Widthについては、デフォルトの0.8mmと、0.3mmについて比較してみました。

Version 0.29c
  Trace Width = 0.8mm
GAP = 0.8mm
Trace Width = 0.3mm
GAP = 0.3mm
1面配置 10秒 24秒
4面配置 4秒 8秒
  Version 0.29d
  Trace Width = 0.8mm
GAP = 0.8mm
Trace Width = 0.3mm
GAP = 0.3mm
1面配置 8秒 12秒
4面配置 3秒 4秒

  QFPのピン周辺はデータが非常に多くなるため、これを4面のPolygonに分割することで結果的に速くなっているようです。
  0.29dではパターンの輪郭生成とフローティングパターン処理の速度改善を行いましたが、おもに後者の効果でTrace Widthが小さいときに大きな時間短縮ができました。


  サンプルに使った基板データは、もともと手作業でベタGNDを配置していました。上の図のQFPのICの下になっている部分も、手作業で配置したベタです。この基板から、部品面、はんだ面に手作業で配置したベタを削除した上で、0.3mmのTrace Width, GAPで次のようにPolygonを配置してみました。

部品面 はんだ面(部品面から透視)

  このPolygonの更新にかかった時間はVersion 0.29cで16秒、Version 0.29dで6秒でした。はんだ面はパターンデータが少ないため、全体を1面で確保しても多くの時間を必要としません。

  サンプルデータ pgsample.zip のダウンロード(39,093bytes)